三鷹（下連雀）の歯医者なら 医療法人社団大芽会
川島歯科医院

こんにちは、三鷹の歯医者、川島歯科医院です。

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合、インプラントの寿命が短くなってしまうリスクがあるのをご存じでしょうか。
このような癖を持つ方でもインプラント治療は可能ですが、歯がすり減っていたり、あごの骨にまでダメージが広がっていたりする場合は、治療後のリスクを減らすために、事前に歯ぎしりや食いしばりに対する対策をとる必要があります。
本日は、歯ぎしりや食いしばりがインプラントに与える影響について解説します。

インプラントの基本知識

インプラント治療は、人工の歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
インプラントがあごの骨と直接結合するため、入れ歯やブリッジよりも自然な見た目で、天然歯に近い感覚でかめるという特徴があります。
主なデメリットは、外科手術が必要であることと治療費が高額であることです。
また、あごの骨の量や質が不十分な場合には、骨移植が必要になることもあります。

食いしばり・歯ぎしりの基本知識

上下の歯をかみしめる行為を食いしばり、上下の歯をすり合わせる行為を歯ぎしりといいます。
原因はさまざまですが、代表的なものとしてストレスやかみ合わせの乱れなどがあり、就寝中に無意識に行われることが多いため、本人は自覚していないことも少なくありません。
歯ぎしりや食いしばりは、歯のすり減りや欠け、知覚過敏、歯周病、顎関節症など、さまざまな口腔トラブルを引き起こす要因となります。

食いしばり・歯ぎしりが天然歯やインプラントに与える影響

歯の摩耗

歯ぎしりによってまず影響を受けるのは、歯の表面です。
持続的な摩擦によって歯のエナメル質がすり減り、象牙質や歯髄が露出することで、虫歯や知覚過敏を引き起こす原因となります。
インプラント治療後の歯の場合、人工歯は耐久性の高いセラミック製のため、摩耗には強いという特徴があります。
ただし、継続的に力を加え続けられている状態はセラミックの劣化を早める危険性があります。

歯の欠けや折れ

歯ぎしりや食いしばりによる過度な力は、歯が欠けたり割れたりする要因になります。
特に、過去に虫歯の治療をした歯は健康な歯に比べてもろくなっているためこのリスクが高く、また詰め物やかぶせ物の破損の原因にもなります。
インプラント治療後の歯に関しても、継続的に過度な力がかかっていることでセラミックの上部構造が破損するリスクがあります。

歯ぐきの炎症・インプラント周囲炎

歯ぎしりや食いしばりによる過度な力は、歯ぐきの炎症を引き起こすリスクがあります。
また、歯ぎしりや食いしばりにより歯ぐきが下がると、歯周ポケット内に細菌が侵入しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高くなります。
インプラント周囲炎は、インプラント周辺の歯ぐきが、細菌感染により炎症を起こしている状態です。
通常の歯周病よりも進行が早く、必要な処置が行われない場合はインプラントが脱落するリスクもあります。

顎関節症

顎関節症は、食いしばりや歯ぎしりによってあごの骨や関節に過度の負担がかかることで発症する症状です。
顎関節に炎症が起きると、口を大きく開けられない、開閉時にカクカクとした音がする、口を開ける際に痛みが出るなど、さまざまな不快な症状を引き起こします。

歯並び・かみ合わせの悪化

歯ぎしりや食いしばりは歯に強い力を持続的にかけるため、歯並びを変えてしまうリスクがあります。
歯並びやかみ合わせの乱れは、滑舌や咀嚼機能、口元の印象、虫歯や歯周病のリスクなど、さまざまな面に影響を与えます。

インプラントが歯ぎしりや食いしばりのダメージを受けやすい理由

インプラントは、天然歯よりも歯ぎしりや食いしばりの影響を受けやすいという特性を持っています。
これは、インプラントには天然の歯に存在する「歯根膜」がないためです。
歯根膜は、かむ力を骨に伝えつつ、その力を均等に分散させる役割を持っています。天然の歯の場合、歯ぎしりによる強力な力は歯根膜によって緩和されますが、インプラントにはこれがないため、歯ぎしりや食いしばりによる強い力がそのままあごの骨に伝わってしまいます。
そのためインプラントは天然歯に比べて抵抗力が低く、かかる力によるダメージを受けやすいのです。

また、歯根膜は細菌の侵入を防ぐ働きもしています。
歯根膜がないインプラントの場合は、歯と歯ぐきの間に細菌が侵入した際、歯根膜による防御機能が働かないため、インプラント周囲炎を発症しやすくなります。
これが、インプラント周囲炎が通常の歯周病よりも進行が早い原因の一つです。
インプラントを長持ちさせるためには、これらのリスクを理解し、定期的なメンテナンスと予防をすることが欠かせません。

食いしばりや歯ぎしりの予防法

食いしばりや歯ぎしりを防ぐ方法として「ナイトガードの使用」があります。
ナイトガードは、就寝時に歯ぎしりから歯を保護するために使用される道具です。
歯科医院で作成するナイトガードは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて作られるため、装着時の違和感が少なく、歯ぎしりや食いしばりによる力をしっかりと分散してくれることが特徴です。
ナイトガードを使用することで、インプラントはもちろん、そのほかの歯にかかる力も和らげることができます。

また「生活習慣の改善」も、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを予防するために欠かせません。
歯ぎしりや食いしばりの原因となるストレスや緊張を減らすために、できるだけリラックスする時間を取り入れたり、運動や趣味を楽しむ時間を設けたりするようにしましょう。
そして、姿勢も意識することが大切です。姿勢が悪いとあごや首に不自然な負荷がかかり、食いしばりを引き起こしやすくなります。

最後に、「定期的な歯科検診」も重要です。定期的に歯科医院で検診を受けることで、歯やインプラントに何か問題が起きている場合にも早期に対処することができます。
もちろん、歯ぎしりや食いしばりの癖がない方の場合でも、インプラント周囲炎などのリスクに備えて、定期的に歯科検診を受けるようにしてください。

まとめ

食いしばりや歯ぎしりの癖がある方の場合、インプラントとその周辺組織へ多大な負荷がかかり、インプラントの寿命が短くなる可能性があります。
ナイトガードの使用や生活習慣の改善、定期的な歯科検診を通じて、健康的な口腔環境を維持することが大切です。