矯正治療でブラックトライアングルができるのはなぜ?原因や予防法を解説
2026/08/20
こんにちは、三鷹の歯医者、川島歯科医院です。
隣り合う歯と歯ぐきの間にできる黒い三角形の隙間は「ブラックトライアングル」と呼ばれ、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が退縮することで生じます。
今回は、ブラックトライアングルの原因や矯正治療との関係、予防法について解説します。
ブラックトライアングルとは
ブラックトライアングルとは、隣り合う歯と歯ぐきとの間にできた、三角形の隙間のことです。
健康な状態では、歯と歯の間の三角形のスペースは歯ぐきで埋められていますが、この歯間乳頭が退縮するとそこに隙間が生じて黒く見えるようになります。
歯間乳頭とは
歯間乳頭の役割
歯間乳頭は、食べ物が歯間部に入り込んだり、発音の際に空気が歯間から漏れたりすることを防ぎ、歯ぐきの形態を保つという役割があります。
そのため、歯間乳頭が失われると食べ物が歯間に詰まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まるとともに、発音に影響が出ることがあります。
歯間乳頭の構造
歯間乳頭は、上皮・結合組織・血管・歯根膜繊維などで構成されています。
歯間乳頭の高さと形態は、隣接する歯の根面の形態・歯の接触点の高さ・骨頂と接触点との距離・歯の形態などによって決まります。
ブラックトライアングルができる原因
歯周病による歯槽骨と歯ぐきの退縮
ブラックトライアングルが生じる原因の一つが、歯周病による歯槽骨と歯間乳頭の退縮です。
歯周病が進行すると、骨吸収が起きて骨頂の位置が下がることで、その上に乗っている歯ぐきも一緒に退縮し、歯間乳頭が縮小または消失します。
矯正による歯の移動と歯間乳頭への影響
重なっていた歯を整える・ねじれを修正する・傾いた歯を立て直すといった歯の移動は、歯と歯の接触関係を変化させます。
その結果、歯間乳頭の形態が新しい接触点の位置と合わなくなり、ブラックトライアングルが現れることがあります。
歯根の形態と歯冠の形態
歯冠の形が三角形に近い場合、接触点が歯冠の上方に位置するため、ブラックトライアングルが生じやすくなります。
また、歯根が細く先細りの形状である場合、隣接する根面の隙間が狭くなり、歯間乳頭が維持されるための空間が不足します。
加齢による歯ぐきの退縮
加齢に伴って歯ぐきの弾力性が低下したり歯槽骨の代謝が緩やかになったりすることで、歯間乳頭が退縮しやすくなります。
また、長年の歯磨きによる物理的な刺激の蓄積や歯周炎の既往なども、歯間乳頭の退縮に関わります。
歯ぎしりや歯を食いしばる習癖
歯ぎしりや食いしばりによって歯周組織に過度な負荷がかかり、骨吸収が促進されることがあります。
骨吸収が歯間部の骨頂を下げることで、歯間乳頭の退縮につながります。
不適切な歯磨きによる歯ぐきへのダメージ
力の入れすぎや横磨きといった間違った歯磨き方法は、歯ぐきを傷つけて退縮を引き起こします。
硬いブラシで強く磨いたり、フロスを無理に押し込んだりすることも、歯間乳頭の退縮につながります。
IPRによる影響
IPRとは、歯と歯の間のエナメル質をわずかに削ってスペースを作る矯正治療における処置です。
この処置によって歯の形態が変わることで、歯間乳頭を収めるスペースの広さが変動し、ブラックトライアングルが生じることがあります。
ブラックトライアングルが生じやすい患者さんの特徴
叢生の程度が大きい
叢生の程度が大きいほど、矯正による歯の移動量が大きくなります。
重度の叢生が改善された後に、それまで重なって隠れていた歯間乳頭の状態が明らかになることで、ブラックトライアングルが目立つようになるケースがあります。
治療前から歯周疾患がある
矯正治療前に歯肉炎や歯周炎がある場合、矯正治療中の歯の移動によって歯周疾患が悪化したり、骨吸収・歯ぐきの退縮が顕在化したりするリスクがあります。
矯正治療開始前に歯周治療を十分に行い、歯周組織を安定させてから矯正を開始することが、ブラックトライアングルのリスクを低減するうえで重要です。
高齢での矯正治療
40代以上での矯正治療では、若年期に比べてブラックトライアングルのリスクが高まります。
加齢による歯ぐきの退縮・歯槽骨の代謝低下・歯周疾患などが複合的に関与します。
ブラックトライアングルの予防
矯正治療前の歯周病治療
矯正治療を開始する前に歯周病治療をしておくことが、ブラックトライアングルの予防において重要です。
歯周病の症状が安定していない状態で矯正治療を行うと、炎症が悪化して骨吸収が促進され、ブラックトライアングルが生じやすくなります。
矯正治療中のデンタルケア
矯正治療中は装置の周囲に食べかすや歯垢が溜まりやすく、虫歯・歯周病のリスクが高まります。
歯ぐきの炎症を防いで歯間乳頭を健康な状態に保つためには、矯正治療中の丁寧なデンタルケアが欠かせません。
できてしまったブラックトライアングルへの対処法
コンポジットレジンによる修正
ブラックトライアングルへの対処法として主に行われているのが、コンポジットレジンを使用した歯冠形態の修正です。
隣接する歯の歯冠部に少量のコンポジットレジンを付加することで、接触点の位置を歯ぐきに近い位置に移動させます。接触点が骨頂に近い位置に変わることで、ブラックトライアングルが目立ちにくくなります。
セラミック修復
ブラックトライアングルが大きい場合や、歯の形態そのものを大きく変える必要がある場合には、ラミネートベニアやセラミッククラウンによる修復が選択されます。セラミック修復は耐久性・審美性において優れており、長期的な安定が期待できます。
一方で、歯を削る必要があること・費用が高額になること・不可逆的な処置であることなどがデメリットです。
歯周形成外科
歯周組織の外科的なアプローチとして、退縮した歯間乳頭を外科的に増大させる処置が行われることがあります。
口蓋などから採取した結合組織を歯間部に移植・充填することで、歯間乳頭の組織量を増加させます。
まとめ
ブラックトライアングルは、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が失われることで生じる三角形の空隙です。
矯正治療前から存在していた歯周疾患・歯の形態・骨頂と接触点の距離関係・加齢による変化などが矯正治療を経て顕在化するケースが多いですが、矯正によって歯の接触関係が変化することで生じるケースもあります。
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